進出に関するコスト
会社や工場を立ち上げるときの大きな判断材料となるのが、労働力単価や土地の価格、電気・水道料金等、いわゆる投資コストです。
人件費の高騰が伝えられる中国・上海と比べればバンコクは一般工、中堅技術者とも人件費は安価ですが、他のASEAN各国の中心都市や中国の内陸部などと比べて、タイ・バンコクの人件費や地価、水道光熱等の固定費は特段安いというわけではありません。特に近年、投資環境も改善して投資先国として注目が高まっているベトナム・ホーチミンとの比較では、労働賃金や土地の賃貸料など、バンコク近郊で操業する方が高コストとなっています。
労働力
・ワーカーレベル人材
法廷最低賃金は地域ごとに定められています。バンコク地域の場合、2011年1月現在、最低賃金は215バーツ/日(約602円)となります。
なお近年、工業地帯においてワーカーの確保が困難になってきています。進出外資企業の増加という要因に加え、農村部の生活レベル向上に伴い、地方からの出稼ぎ労働者数が減少しているのが背景と見られています。このため、各社とも好条件を提示して労働力を確保しようという動きが広がり、これによって実態ベースの労働賃金も上昇傾向にあると言えます。
・熟練労働者、マネージメントレベル人材
タイでは元々、理工系の人材が不足する傾向にありますが、企業数の増加に伴い、ワーカーレベル人材同様、熟練工レベルの人材供給も需要の増加に追いつかない状況にあります。また、企業や工場の運営に欠かせないマネージメント人材についても、優秀な人材の確保はかなり困難な状況です。
ヒアリング等によれば、現在、学部新卒のエンジニアの賃金レベルは25,000バーツ/月(約7万円)~程度となっていますが、管理職レベルでは100,000バーツ/月(約28万円)以上の月額給与も珍しくありません。