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 メコン地域 「メコン川委員会(MRC)、ラオス・サヤブリ県のダム建設に延期勧告」

2011年5月9日

タイ大手ゼネコンのチョー・ガーンチャン社、ラオス政府、タイ石油公社(PTT)、東京電力らによるJVがラオス・サヤブリ県北部のメコン川流域に建設を計画している1,260MW級の水力発電所ダムについて、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアの4カ国によって構成されるメコン川委員会(MRC)は4月19日、建設計画の延期を勧告した。

この計画は、ラオス政府が株式の一部を保有していることからも明らかなとおり、ラオス政府の認可のもとで進められてきた。昨年9月にラオス政府からMRCに対して建設計画の事前通知(Prior Consultation)がなされたが、その後MRCにて検討の結果、現時点では建設に関する環境影響評価が十分でないとして、今回の勧告となった。

しかし、各国でのダム建設計画の事前段階におけるMRCへの通知の必要性、強制力については、未だMRC加盟国間の認識にズレがある。ラオス政府は「MRCからの助言は全て考慮する」としながらも、プロジェクトの延期は不要として、続行する構えを見せている。これに対して他のメコン川流域国は懸念を表明しているが、自国のゼネコンがプロジェクトを主導し、ダムが建設された場合に発生する電力のほぼ全量を購入する予定のタイと、それ以外の2カ国(ベトナム、カンボジア)とでは、当然のことながら立場が異なり、自ずと懸念の程度も異なってくる。

MRCには、加盟国間の合意により、各国個別の利害を調整し、メコン川流域全体が持続的発展を遂げていくための最良の選択肢を検討するという役割と、応分の権力が付与されている。今回のサヤブリ県ダム建設の問題を皮切りに、今後生じるであろう個々の案件に対し、関係国間の自主的な調整機関であるMRCがどこまで強制力をもって解決に臨めるか、今後、注目される。

(石毛 寛人)

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