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 タイ 「東部マプタプット工業地域 環境汚染・事業停止問題 解決への道筋」3

2010年10月1日

バンコク東部に位置するマプタプット工業地域において76事業の操業開始が差し止められている問題に関して、健康アセスメント(HIA)および住民・利害関係者からの意見聴取実施対象となる11業種が8月31日に閣議決定された。この2日後、中央行政裁判所は、76事業のうち74事業に対して事業差し止め処分の解除の判決を下したため、日系企業を含む企業のほとんどが事業を開始できる見通しとなった。

ところが、この対象業種選定のプロセスにおいて、当初、元首相のアナン・パニャラチュン氏を委員長とした特別委員会、通称「アナン委員会」が決定した18業種に対し、国家環境委員会は最終的にその対象を11業種に絞り込んだことから、地域住民はこの決定を不服とし、抗議活動を続けている。9月30日には、同工業地域があるラヨーン県行政センターにおいて約2000人規模の住民デモが行われた。

アピシット首相は、今後半年間、毎月2回コプサック首相補佐官を現地に派遣し、公害の状況を調査するなど、住民および環境意識の高まる世論への配慮の姿勢を示しているが、差し止めを受けていた大部分の事業が再開した後も、問題の根本的解決までには時間を要するものと思われる。

この通達は、マプタプット地域の74事業の事業差し止めを解除すると同時に、マプタプット地区以外で2007年憲法の公布後に事業認可を受けて開始された事業のうち対象11業種に該当する事業については、認可が取り消され、EIA、HIAおよび意見聴取を実施した上であらためて事業認可が下りるまで操業できないことを意味するものである。

10月27日付デイリーニュース(タイ字紙)の報道によると、チャイウット工業大臣は、既に操業中の以下11事業がこれに該当する可能性があるとして、事業者に180日以内にEIA/HIAプロセスを義務づけ、行われない場合には事業許可を取り消す旨の通達を行った。

<対象11業種> (10月27日付デイリーニュース紙)
1. パーデーンインダストリー (亜鉛鉱業)
2. NTSスチールグループ (コークス炉製鉄)
3. アクラーマイニング (金鉱業)
4. センタイ・インダストリー (金属溶解業)
5. タイナンファーラスメタル (鉛溶解業)
6. ソーワギムフワット (有害廃棄物処分)
7. ダイキン・インダストリー(タイランド) (冷媒用温室効果ガス焼却)
8. ゲコワン (GHECO-ONE) (石炭火力発電)
9. ネチャンネルパワーサプライ (石炭火力発電)
10. PTT LNG  (LNG船接岸設備)
11. バンパコン発電所 (複合発電所)

(石毛 寛人)

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