タイ 「太陽光・太陽熱発電への買い取り上乗せ価格(Adder)引き下げ」
2010年10月1日
タイでは、バイオマス、風力、太陽光熱などの再生可能エネルギー分野を促進するため、同エネルギー製造者から首都圏発電公社(MEA)または地方発電公社(PEA)が買い取る際に、7-10年間にわたり、通常の買取価格に加えて1kWhあたり0.3~8.0バーツの上乗せをする「Adder」制度が導入されている。
今般、タイ政府は7月20日の閣議において、太陽光および太陽熱由来の電力に対する売電上乗せ価格を、従来の8.0バーツ/kWhから6.5バーツ/kWhへの引き下げを決定した。
これまでは、バイオマス、バイオガス発電によって生成されたエネルギーに対する上乗せ0.3~0.5バーツに対し、太陽光熱由来のエネルギーに対しては8.0バーツと、もっとも高い上乗せ額が設定されていたが、昨今の太陽光/熱発電機器導入コストの値下がりなどを理由に、タイ政府は今回、引き下げに踏み切った。
タイ国は現在、電力の約7割を天然ガス/LNGに依存している状況であり、天然資源・環境省は、代替エネルギー開発計画(Alternative
Energy Development Plan; AEDP)の中で、2022年にエネルギー最終消費量の約20%を再生可能エネルギーで賄うことを目標として掲げている。今回の買取上乗せ価格の引き下げ改定は太陽光・熱発電エネルギーのみが対象だが、一部事業者の間からは、「再生可能エネルギー投資の促進に逆行する動き。」と反対の声も上がっている。今回の改定により、太陽光熱エネルギーのみならず他の再生可能エネルギーの買取価格についても将来の下落リスクを懸念して、投資を踏みとどまる事業者も出てきているようだ。