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 中国人観光客「爆買い」の理由

2015年9月9日

日用品から高級品まで、中国からの「爆買い」旅行客に注目が集まっている。
日本政府観光局(JNTO)によれば、2015年1~7月の7ヵ月間で中国からの旅行者は270万人に達し、2014年の240万人を既に上回る中国人観光客が来日している。7月は上海株暴落等のニュースもあったが、それでも訪日中国人観光客は57万人と過去最高に達し、訪日外国人の約4人に1人が中国からの観光客だ。

円安人民元高にビザの緩和、LCCの就航拡大、免税サービスの拡大で、中国人にとって日本旅行は非常に近い存在となっている。
筆者は先日、中国のLCC会社である春秋航空の重慶-関空の直行便に搭乗する機会があった。大手航空会社の飛行機では、内陸部の重慶へ行くためには北京や上海を経由して待ち時間も含めると8時間以上の道のりであるが、LCCではたった3時間半のフライトで到着してしまい、価格も3万円程度と非常に割安で驚いた。
既に中国の夏休みも終了した平日のフライトであったが、ほとんどが中国人の団体旅行客で満席になっており、沿海部だけでなく内陸部の都市からも安く、速く、多くの人が日本旅行を楽しめるようになっていることを感じた。

中国人観光客が日本で購入する人気の製品は、1位が医薬品、2位が化粧品、3位が温水洗浄便座だという。また、生活雑貨、紙おむつ、粉ミルク、食品なども人気の上位に並んでいる。
日本人もバブル景気のころは海外に押しかけブランド品を買い漁っていた時代があったが、中国人観光客はブランド品だけでなく、ドラッグストアや100円ショップの日用品まで様々な製品を大量に購入しており、日本経済へも大きく貢献してくれる存在となった。

彼らがこうした日本製品を欲しがる理由は、「日本製は安全、安心」と信頼が高いためであると言われている。
しかし、実は彼らに人気の化粧品や生活用品などは、実は既に日本のメーカーが中国国内向けにも同様の製品を販売していたり、中国のネット通販などで同じ日本製品が購入することが可能であるものが多い。また、日本で販売されている商品も、その多くはメイド・イン・チャイナである。
それにもかかわらず、何故、わざわざ日本にまで来て大量に購入し、かさばる荷物を担いで帰るのか。その本当の理由は、中国国内で販売されているものは「価格が高いが本物かどうかわからない」というニセモニが横行する中国国内市場に対する「不信感」が根強いことにある。
世界第2位の経済大国にはなったものの、中国人の自国の市場や製品への信頼はまだまだ低く、一方で昔からのイメージも相まって、日本製品の品質に対する信仰は非常に厚い。

多くの中国人がホンモノの日本の品質に触れられる様になった今こそ、日本側も「今のうちに何でもかんでも売ってやろう」ではなく、より一層信頼性の高い製品を供給していく必要があるだろう。
これにより、この「爆買い」現象を一過性のものにせず、日本製への信頼をより強固で確実なものにし、日本へのリピータを増やしていくことが可能となるだろう。

(阪野 ももこ)

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