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 ベンチャー投資の特性と投資環境

2015年1月14日

アベノミクスや日銀の量的緩和により、2012年度末より株式相場の上昇が続いていますが、株式市場が堅調である時に度々話題に取り上げられる、ベンチャー投資について、その特性と投資環境を述べたいと思います。

ベンチャー投資とは、大企業では実践することが困難である、革新的な技術やビジネスモデルを基に創造的な経営を展開する中小企業への投資を言い、プライベートエクイティ(未上場株式)投資の一種です。

投資対象としてはすべての分野・業種が対象になりますが、最近ではモバイル、ソーシャルメディア、クラウド等のIT分野、バイオ医薬品、医療機器、介護サービス等のヘルスケア分野、代替エネルギー、スマートグリッド、省エネ、リサイクル等のクリーンテック分野等が成長分野として注目されています。

プライベートエクイティ投資は、上記の通りその特徴によって、経営支援を目的としたベンチャー投資、経営権をもって投資するバイアウト投資、経営不振企業への企業再生投資、破綻企業へのディストレスト投資に分類されます。

また上場株式や債券などの伝統的資産への投資とは異なるオルタナティブ投資(代替投資)の中の一つとして分類され、伝統的な資産とは相関性が低く、ポートフォリオのリスク分散の目的として、また市場が非効率なことからハイリターンが期待できると、一般的には考えられています。

投資家側から見るとこのような特徴で表現することができますが、投資される企業側から見ると、別の大きな特性があります。
起業家が事業を立ち上げ、推進する中で事業拡大を考える時に、資本政策を策定し時間軸を考えると、銀行からの融資額に限界があることから、経営の独立性を確保したく、できれば議決権を外部に付与したくない中でも、株式の形態で資金調達を行うほかはなく、ここに投資家から見るベンチャー投資の機能があります。
事業を継続する上で、当初の資本政策の中で株式による資金調達が必要である上に、事業環境が日々変わり、事業計画通りに行かなくなると、追加の資金調達も必要になり、キャッシュフローが著しく不安定になります。そうなると融資による資金調達は困難になり、さらに株式による資金調達が必要になってきます。このキャッシュフローの予測が困難な企業への資金支援がベンチャー投資と言えます。
従って、産業育成、企業育成のための資本市場の中の重要な社会的機能が、ベンチャー投資の大きな特性であり、それが故にベンチャー投資からの収益が期待できる面があります。

一方で、投資家側から見た、ベンチャー投資の現在の環境について考えます。
アベノミクス及び日銀の量的緩和の影響で、国内株式市場は2012年度より上昇しています。今季予想基準の投資指標として、直近の東証1部全銘柄のPERは16.4倍、PBRは1.4倍となっており、過去の推移と比較すれば、まだ上昇余地の可能性があると思われます。円安、原油安により、業種によっては企業業績が伸びる可能性があり、ベンチャー投資のエントリーのタイミングとしては悪くないと考えます。
ベンチャー投資のエグジットとしては、IPOあるいはM&Aによる会社売却があります。東証が発表する新規上場会社数の推移を見ると、2009年の23社を底に、26社、50社、66社、75社、90社と毎年上昇傾向にあります。これは金融庁及び東証のIPOマーケット活性化のための施策であり、国内株式市場の回復とともに今後も続くと思われます。またマールオンライン発表のM&A件数の推移を見ると、2011年を底に上昇傾向にあります。従ってこの傾向が続くようであれば、ベンチャー投資の投資環境はよいと言えます。

ベンチャー投資のエグジットとしては、IPOあるいはM&Aによる会社売却があります。東証が発表する新規上場会社数の推移を見ると、2009年の23社を底に、26社、50社、66社、75社、90社と毎年上昇傾向にあります。これは金融庁及び東証のIPOマーケット活性化のための施策であり、国内株式市場の回復とともに今後も続くと思われます。またマールオンライン発表のM&A件数の推移を見ると、2011年を底に上昇傾向にあります。従ってこの傾向が続くようであれば、ベンチャー投資の投資環境はよいと言えます。

しかしながら、一般的な企業・個人投資家が直接ベンチャー企業に投資を行うことは、キャッシュフローや事業展開が不安定なベンチャー企業の目利きやハンズオンによる積極的な経営支援をすることが難しいことから、実質的にはベンチャー投資ファンドへの出資が妥当であると思われます。
日本におけるベンチャーキャピタルは、銀行系、証券会社系、事業会社系、商社系、政府系、独立系など様々で、各々独自の特徴をもった投資方針で運用しています。投資家は自分の投資戦略や投資分野に合った、信頼できるベンチャーキャピタルを選択する必要がありますが、ハイリターンの可能性とともに、産業育成、企業育成のための資本市場の中の重要な社会的役割を担うことができるという魅力があります。

以上の特性をもつベンチャー投資を魅力的な投資対象と考えられる投資家にとっては、ベンチャー投資の投資環境としては総じて良く、投資の一考の価値があると考えます。

(経営コンサルティング部)

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