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 2013年中国M&A市場概括

2014年1月15日

早いもので2013年が終わり2014年になった。昨年日本では東京オリンピックの開催や消費税率の引き上げ決定等のニュースがよく報道されたが、今回のメールマガジンでは弊社が普段関わらせて頂くことの多い中国M&Aの2013年の様子を振り返ってみようと思う。

清科研究センターの報告によると、2013年1月1日から2013年11月30日までにクロージングした中国国内案件は前年同期比33%増の904件であった。そのうち、取引金額が明らかになっている848件の総取引額は285億ドルで前年同期と比較し2倍以上の金額となった。国内案件が件数、金額ともに前年と比較し増加した背景として上海自由貿易区の成立、中国共産党第十八期中央委員会第三回全体会議の開催等中国企業に期待を持たせる政策、停滞するIPO等の影響が考えられる。

第12次5カ年計画では、①省エネ・環境保護、②新世代情報技術、③バイオ、④最先端の製造業、⑤新エネルギー、⑥新素材、⑦新エネルギー自動車の7業種が戦略的新興産業と位置付けられた。投資家もこれらの業種に特に注目している。
その中から弊社では、中国の環境問題の深刻化に着目し、クリーンエネルギー、次世代交通、スマートテクノロジー、汚染処理、リサイクル、省エネという6つの分野を投資領域として提案した。その中でさらに興味のある分野として、多くの中国の投資担当者が挙げたのは、大気汚染処理、汚水処理、土壌処理、リサイクル技術、次世代自動車、省エネ関連であった。

一方でクロージングしたクロスボーダー案件は前年同期比21.0%減の111件であった。件数ベースでは去年より減少したが、金額ベースでは取引額が明らかになっている84件で440億ドルと前年同期比48.1%増であり、1件あたりの平均取引額が増加した。中国政府は今後も走出去(海外進出)政策を推進する方針であり、中国企業も新市場を求めて積極的に海外展開を図っているため、今後もクロスボーダー案件は一定程度数発生するだろう。

次に、2013年11月末までにクロージングした国内案件、クロスボーダー案件1,015件を業界ごとにみていく。件数ベースで最も多かったのはエネルギー/鉱物業界で123件(12.1%)あった。2位は不動産業で120件(11.8%)、3位が機械メーカーで95件(9.4%)と上位3位の業界の割合は拮抗していた。エネルギー/鉱物業界と不動産業界は従来から人気のある投資業界であることと、同業界の多くが国有企業であり、政府からの業界再編の要求に対応したため、件数が多い結果となった。機械業界は近年業界再編への圧力が強くかけられており、今後M&Aが活発に起こると予想される。

金額ベースではエネルギー/鉱物業界が267.9億元(36.9%)で最も大きく、2位以下と大きな差をつけた。2位は金融業で、その金額は前年同期の569.1%と急な成長を見せたが、これは1件98.8億ドルの大型案件(正大集団による中国平安の買収)の押し上げによる。しかし、中国では近年事業会社が事業多角化の一部として金融事業に乗り出す例が増えており、今後金融業界のM&A案件は増えると予想される。その他に、中国政府は2013年1月に規模の経済の発揮、資源の集中による国際競争力の強化等の目的のため、2015年までに自動車、船舶、医薬品、鉄鋼、電解アルミ、セメント等の9つの業界の再編を促進する方針を示している。そのため、これら9つの業界での中国国内M&Aも活発な動きを見せるだろう。

また、VC/PEが関連しているM&A案件は356件あった。件数ベースでは前年同期の2倍、金額ベースでは5.6倍以上と急増し、件数、金額共に過去最高となった。急増した要因として、中国国内のIPOが停滞しているなか、投資のexitとしてM&Aを採用する投資機関が多かったことが考えられる。

最後に、客観的なデータではなく、日々の業務の中での個人的な感覚であるが、海外企業の中国からの撤退によるM&Aの増加を感じる。中国企業の譲渡希望企業情報を日本企業に紹介すると「中国はちょっと…」という反応を受けることも増えた。販管費の増加、政治リスク、成長鈍化等様々な要因により中国事業にネガティブな日本企業が存在することは確かだ。一方でタイやベトナム等東南アジアの譲渡希望企業情報は歓迎される場合が多い。ただそういった多くの意見の中にも、「一時的な政治リスクや東南アジアブームで他の企業の中国への注目度が下がっている今が中国に投資し、中国事業の基盤を築くのに適した時期ではないだろうか。」という声があることも事実である。一時的なマイナス面だけを見るのではなく、他東南アジア諸国と比較した中国の技術力の高さ、増幅する消費者層とその人口、日本製品・技術・ブランドへの強い吸収意欲、一時的な中国企業譲渡額の相対的低下など、プラス面を適正に評価することが大切である。弊社は中国事業を展開する企業を今後も全力で応援する。

(向 香織)

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