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 中国M&A市場環境が変貌する?

2013年10月17日

今年8月に10日間程、上海、重慶に滞在する機会がありました。現地で最初に感じたのは、中国各地で異常な猛暑であったにも拘らず、例年全土で発生している電力使用制限が全く聞こえてこないということです。景気の低迷で工場の稼働率が下がっているからという意見もありますが、個人的には近年、電力網改革(西電東送:中国西部地域で発電された電力を東部沿岸地域に送電し、電力不足を解消する)等が奏功したと考えています。今まさに中国の構造改革が急ピッチで進められています。

M&Aアドバイザー業務という視点では、最近になり、中国の友人との会話の中で、頻繁にM&AA関連の言葉が出てくるようになってきました。過去日本がたどってきたように、中国国内においても馴染みのなかったM&AAという経営戦略は人々にとって身近な存在になりつつあり、M&AA市場の裾野、対象業界が確実に広がりを見せていることを実感しています。以下、その背景を紹介いたします。

1. 中国における中小企業の事業承継ニーズの増加
1992年以降、中国では新たな改革開放が推し進められ、多くのの民間企業が設立され  ました(全国工商聯の発表によると、2012年9月時点の登録民間企業数は1,000万社 を超えています)。その創業者の多くは高齢になり、オーナー保有株式の現金化ニーズ、事業承継ニーズ等が増加しています。

2. ファンドのExitニーズの増加
中国株式市場の低迷、IPO審査の長期化(IPO待ち企業が700社以上と言われている)等により、プライベート・エクイティ・ファンド、ベンチャーキャピタルのIPOによるExitが難しくなり、M&AによるExitを採用するケースが増えています。

3. 業界再編ニーズの増加
産業の集約、国際競争力の向上のため、今年1月、中国政府は自動車、鉄鋼、セメント、電子情報、医薬等9業界の企業合併・再編に関するガイドライン「重点業界企業の合併・再編の推進に関する指導意見」を公表しました。 国有企業が中心であり、且つ地方保護主義が強い中で、統廃合が上手く進むかどうか疑問ですが、産業構造の転換、集中と選択或いは淘汰が必要な時期に来ていることは間違いありません。一方、今までは規模拡大、新事業への参入のための買収が多かったのですが、今後、川上・川下産業の買収が増加すると考えられます。

4. その他
成功した民間企業(個人)による新規事業への参入、海外進出ニーズの増加、など。

中国の産業構造改革に伴い、景気のアップダウンは起こるものの、企業の生き残りをかけたクロスボーダーM&Aの取引額、件数はともに伸びていくものと思われます。同時に、日本企業にとっては、グローバル化する中国市場に切り込む良いタイミングが来ているとも考えられます。

良い現地パートナーを開拓するためには、中国におけるネットワークの構築、情報収集力の向上が必要不可欠です。現地事業所・現地グループ会社・現地提携企業を持つ弊社の活躍をご期待ください。

(中江明皓)

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