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環境法規制

 水質

タイの水質に関する規制としては、大きく分けて以下の5種類の規制が存在します。
(1) 飲料用水に対する水質基準
(2) 地表水に対する水質基準
(3) 沿岸水に対する水質基準
(4) 地下水に対する水質基準
(5) 排水基準(工場、ビル建造物、その他)

(1)飲料用水に対する水質基準

飲料用水については、表1の通り1978年(仏暦2521年)工業省布告No.322によって、「適正値」と「最大許容値」が定められており、最大許容値を上回らない範囲での水質確保が求められています。なお、ボトリングされる飲料水、飲用として使用される地下水については、それぞれ表2、表3に個別の値が規定されています。

<表1>飲料用水水質基準

1978年(仏暦2521年)工業省布告No.322
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


<表2>瓶詰め飲料水に関する水質基準

1979年食品法に基づき発出された1981年(仏暦2524年)公衆健康省布告No.61
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


<表3>飲料用地下水に関する水質基準

1977年地下水法に基づき発出された2008年(仏暦2551年)天然資源環境省布告
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


(2)地表水に対する水質基準
地表水に対する水質基準は、利用目的別に5段階に区分し、それぞれの段階について28項目の基準を設定しています。もっとも清浄度の高いClass1は全項目が「自然状態」であることが求められ、消費利用として最低限度の清浄度とされるClass4においても溶存酸素2mg/l、BOD 5mg/l等、許容値以下の確保が要求されます。

<表4>地表水の区分と目的

1992年国家環境保護法に基づき発出された1994年(仏暦2537年)国家環境委員会布告No.8
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


<表5>地表水の水質基準

1992年国家環境保護法に基づき発出された1994年(仏暦2537年)国家環境委員会布告No.8
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


(3)沿岸水の水質基準
タイの沿岸水に関する水質基準は、表6のとおり、利用目的区域ごとにClass1~6まで区分され、それぞれに含有成分の規制値が定められています。

<表6>沿岸水の水質基準

1994年(仏暦2537年)国家環境委員会布告No.7および1992年国家環境保護法
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


(4)地下水の水質基準

<表7>地下水の水質基準 →拡大図

1992年国家環境保護法に基づき発出された2000年(仏暦2543年)国家環境委員会布告
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成


(5)排水基準
①工業排水に関する基準
工業排水に関する基準は、科学技術環境省1996年(仏暦2539年)布告No.3によって下表のように規定されています。ただし、以下の一部業種(1992年工場法によるカテゴリーに従う)については、公害管理委員会(PCC)1996年布告No.3によって一部の含有物質(BOD、COD、TKN)に関する上限規定が適用除外とされ、別途PCCとの協議によって定められることとなっています。

<一部項目の適用除外業種(カッコ内は1992年工場法によるカテゴリー分類)>
【BOD】 動物屠殺場(4(1))、澱粉工場(9(2))、澱粉を原料とした食品工場(10)、動物用食品工場(15)、繊維工場(22)、なめし工場(29)、紙パルプ工場(38)、化学工場(42)、医薬品工場(46)、冷凍食品工場(92)
【COD】 食品工場(13(2))、動物用混合食品またはインスタント食品工場(15(1))、繊維工場(22)、紙パルプ工場(38)
【TKN】 1996年科学技術省布告No.4発出後1年間、同布告における第2・第3類型の企業は100mg/l以下を規定上限値とする。また同2年以内は、食品工場(13(2))、動物用混合食品またはインスタント食品工場(15(1))については200mg/lを既定上限値とする。

<表8>工業排水基準 →拡大図

科学技術環境省1996年(仏暦2539年)布告No.3
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成

なお、タイ工業団地公社(IEAT)が管轄する工業団地については、各工業団地が有する中央排水処理施設への流入水質基準が、表8とは別に、IEAT1998年(仏暦2541年)布告No.45によって下表の通り定められています。布告に定めがない場合、もしくは定めがある場合でも、中央排水処理施設の整備状況によって工業団地内にて独自の規制が制定されているケースもあるため、詳細は個別の工業団地に確認する必要があります。

<表9>IEAT管轄工業団地別 認可排水基準値一覧表 →拡大図

②建造物からの排水基準
建造物からの排水に関する基準は、2005年(仏暦2548年)11月7日付 天然資源環境省布告に従い、建造物の種類及びサイズによって以下の通り規定されています。

③その他の排水基準
住宅団地、養豚場、給油所、水産養殖業(沿岸、汽水、内陸のそれぞれにつき)の各産業については個別の排水基準が定められています。

 大気

タイの大気汚染防止に関する規制としては、環境大気に関する一般的・包括的な基準に加えて、工場や自動車・二輪車など発生源別に含有物質の基準濃度が規定されています。
→拡大図

【大気汚染防止に関する規制の体系】

(1) 環境大気
環境大気に関しては、表2に示す一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)等8種類の汚染物質および表3に示す揮発性有機化合物(VOC)9種類に関する基準値が示されています。
環境大気基準は、短期間および長期間計測による基準値がそれぞれ設定され、人体の健康に対する急性・慢性的な影響を両面から測ることとされています。

【環境大気基準】

Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )および次の国家環境委員会布告をもとに作成。【1995年(仏暦2538年)No.10、2004年(仏暦2547年)No.24、2007年(仏暦2550年)No.28、2009年(仏暦2552年)No.33、2010年(仏暦2553年No.36)】

【環境大気中の揮発性有機化合物質(VOC)】

Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )および2007年(仏暦2550年)国家環境委員会布告No.30をもとに作成。

(2)発生源別
 ①固定発生源 →拡大図

 ②移動発生源
 以下は、自動車に関する排ガス規制の概要です。 →拡大図


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 土壌

タイの土壌に関する基準値は、土地の利用目的により、①農地または居住区と②それ以外の2種類に分けてそれぞれ規定されています。各分類の基準値は下表に示すとおりです。

1992年国家環境保護法に基づき発出された2004年(仏暦2548年)国家環境委員会布告No.25
Pollution Control Department(PCD) ウェブサイト( http://www.pcd.go.th/ )を元に作成

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